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覚書話6
(覚書話4の続き)
(覚書話4の続き)
「沙羅……。そういう笑えない冗談は止めてくれないか」
沙羅の笑いの気配を感じたのか、我に返ったブルーが眉を寄せた。
彼女の面白好きな性格と言動は今更の事だが、何もこの状況で尚且つこの話題でそれを発揮しなくても良いではないか。
しかも迫真の演技までつけて。
(本気で動揺した自分が馬鹿みたいだ)
フイッと視線を逸らし、立ち止まってしまっていた足を再度動かし始める。
自室である蒼の間はもう目の前だ。
部屋に入ったら、今日はこのまま眠りにつく事になるだろう。
沙羅のおかげで多少マシになっているとはいえ、元々万全の状態とはいえない身体だ。
その上、今日は大気の薄いナスカの地でずっとシールドを張り続けていた。
それらが重なって普段よりも体力を消耗している。
(今回は2・3日というところか……)
自分の現在の状態と回復に必要な時間を照らし合わせながら、蒼の間の入り口へと差し掛かる。
先ほどまで繰り広げられていた混乱とその原因になった話題は、切り替えられたブルーの頭の中には既に存在していない。
いや、片隅にはほんの一欠けら存在してはいるが、注意を払わねばならないものとの認識からは外されてしまっていた。
(うーん。笑ったのはやっぱりまずかったか……)
騙された、という観点で笑ったわけではなかったのだが、確かにあのタイミングならば(しかも自分とブルーの関係ならば)そう勘違いしてしまっても仕方がない。
更に言うなら、彼がすっかり思考を切り替えてしまっているのが微妙に悔しい。というか、つまらない。
(感嘆には値するけどね)
その速さに。
一人胸の内で呟きつつ、もう一度きちんと主張する為に、まずは彼の行動を邪魔する事にした。
冷静に考えれば、この二人の場合、ここで話が終わったのならばそのままにしておいた方が良かったのだろう。
ずっと一緒にはいられない。
子供の成長を見届ける事が多分出来ない。
そういう二人であるから。
けれども、何故かこの時、沙羅の頭の中からは『冗談で片付けておく』という考えがすっぽりと抜け落ちてしまっていたのだ。
後でその時の事を訊かれた沙羅は「えー? だって、せっかくその話題になったんだから、ねぇ?」と冗談なのか本気なのか分からない笑みを浮かべるのだが、それはまだ未来の事で。
ともかく、今沙羅がすることといったら。
「うわっ」
クイッと後ろからマントを引っ張られ、つられてブルーの身体が若干背後へのけぞる。
そんな事が今できるのは(今じゃなくても彼女ならいつでもできるが)先ほど爆弾発言をかましてくれた女性しかいない。
彼女のある意味危険な行為を嗜めようと後ろを振り返ったのだが。
「こらこら。勝手に冗談にしないでちょうだい」
沙羅はマントを掴んでいる手とは反対の手を腰に当てて頬を膨らませている。
明らかに『不本意だ』と書かれている顔に、ブルーは疲れたように溜息をついた。
勝手にも何も。
実際、本当に冗談だったのだろうから別に構わないだろうに。
というか、何時までこの冗談を続けるつもりでいるのだろう?
何だか色々と(主に精神面で)疲れてしまったので、このまま眠らせて欲しいのだけれど……。
そんな意味合いをこめた真紅の視線を目前の女性へとむけてみるが、彼女には通じなかったらしい。
通じないというか、さらっとスルーされたというか。
沙羅の笑いの気配を感じたのか、我に返ったブルーが眉を寄せた。
彼女の面白好きな性格と言動は今更の事だが、何もこの状況で尚且つこの話題でそれを発揮しなくても良いではないか。
しかも迫真の演技までつけて。
(本気で動揺した自分が馬鹿みたいだ)
フイッと視線を逸らし、立ち止まってしまっていた足を再度動かし始める。
自室である蒼の間はもう目の前だ。
部屋に入ったら、今日はこのまま眠りにつく事になるだろう。
沙羅のおかげで多少マシになっているとはいえ、元々万全の状態とはいえない身体だ。
その上、今日は大気の薄いナスカの地でずっとシールドを張り続けていた。
それらが重なって普段よりも体力を消耗している。
(今回は2・3日というところか……)
自分の現在の状態と回復に必要な時間を照らし合わせながら、蒼の間の入り口へと差し掛かる。
先ほどまで繰り広げられていた混乱とその原因になった話題は、切り替えられたブルーの頭の中には既に存在していない。
いや、片隅にはほんの一欠けら存在してはいるが、注意を払わねばならないものとの認識からは外されてしまっていた。
(うーん。笑ったのはやっぱりまずかったか……)
騙された、という観点で笑ったわけではなかったのだが、確かにあのタイミングならば(しかも自分とブルーの関係ならば)そう勘違いしてしまっても仕方がない。
更に言うなら、彼がすっかり思考を切り替えてしまっているのが微妙に悔しい。というか、つまらない。
(感嘆には値するけどね)
その速さに。
一人胸の内で呟きつつ、もう一度きちんと主張する為に、まずは彼の行動を邪魔する事にした。
冷静に考えれば、この二人の場合、ここで話が終わったのならばそのままにしておいた方が良かったのだろう。
ずっと一緒にはいられない。
子供の成長を見届ける事が多分出来ない。
そういう二人であるから。
けれども、何故かこの時、沙羅の頭の中からは『冗談で片付けておく』という考えがすっぽりと抜け落ちてしまっていたのだ。
後でその時の事を訊かれた沙羅は「えー? だって、せっかくその話題になったんだから、ねぇ?」と冗談なのか本気なのか分からない笑みを浮かべるのだが、それはまだ未来の事で。
ともかく、今沙羅がすることといったら。
「うわっ」
クイッと後ろからマントを引っ張られ、つられてブルーの身体が若干背後へのけぞる。
そんな事が今できるのは(今じゃなくても彼女ならいつでもできるが)先ほど爆弾発言をかましてくれた女性しかいない。
彼女のある意味危険な行為を嗜めようと後ろを振り返ったのだが。
「こらこら。勝手に冗談にしないでちょうだい」
沙羅はマントを掴んでいる手とは反対の手を腰に当てて頬を膨らませている。
明らかに『不本意だ』と書かれている顔に、ブルーは疲れたように溜息をついた。
勝手にも何も。
実際、本当に冗談だったのだろうから別に構わないだろうに。
というか、何時までこの冗談を続けるつもりでいるのだろう?
何だか色々と(主に精神面で)疲れてしまったので、このまま眠らせて欲しいのだけれど……。
そんな意味合いをこめた真紅の視線を目前の女性へとむけてみるが、彼女には通じなかったらしい。
通じないというか、さらっとスルーされたというか。
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